みなさん、こんにちは。
のりそらです。
私は、『教育に選択肢を、人生に革命を』を経営理念に、
教育目標を『明日も行きたくなる学校』すなわちNEXTAGE SCHOOLとした次世代の学校の運営をしています。
ここでは、教育に関わるテーマを1つ挙げて、それについての考えを共有しつつ問題提起を行っています。
今日も、世界の教育に目を向けてみたいと思います。
日本国内にしか目を向けていないと、その範囲で物事を考えるようになる、日本の常識に支配されるような気がしたためです。
そこで、少々世界の国の教育の様子にフォーカスしたいと思いました。
さて、前回は、
『【発表!!】教育制度充実国ランキング』
と称して、ある指標で教育制度の充実度、幸福度を見ていき、そのランキングトップ10 を発表しました。
参考にしたのは、米CEO World誌の「世界最高の教育制度ランキング」とユニセフの「Report Card 16」です。
まだそちらをご覧になっていない方は、先にそちらをご覧いただけると良いかと思います↓↓
今回は、上の記事のうち、幸福度で上位にランクインした”フィンランド”の教育の特徴についてお話しさせていただきたいと思います。
フィンランドの教育制度の良さについては、教育界では有名な話ですね。
フィンランドの教育の歴史
まずはじめに、フィンランドの教育の歴史を紐解きたいと思います。
フィンランドが幸福度ランキングで高い成果を挙げていることには、1994年のオリベッカ・ヘイノネン氏の教育改革が大きく寄与したと言われています。
オリベッカ・ヘイノネン氏は1994~1999年に教育大臣を務めました。
1994年の教育改革において重要な点としては、
- 教育の自由化
- 教員の質向上のための施策
の2つが挙げられます。
教育の自由化
教育の自由化とは、教育省から各自治体・学校・教員へ裁量が与えられることを意味します。
これはコア・カリキュラム(=日本の学習指導要領)の項目を3分の1まで削減したことが大きな要因です。
コア・カリキュラムには目指す教育の質のみを示す形式となり、実質的な教育内容は各自治体等に委任されました。
1994年当時は、パソコンが台頭し始めた変化の激しい時代でした。
そのためヘイノネン氏は、細かく指導内容を作成しても新しい時代に対応できる教育が行えるかはわからないと考え、このような大胆な削減を行いました。
その他にも、学級編成の目安や予算計画などの裁量も自治体に与えられました。
ここは日本がかなり見習うべきところではないでしょうか?
あまりにも縦割りが強すぎて、現場に裁量がほとんどありませんよね。
裁量がないから、考えない。
言われたことだから、責任感も薄れる。
考えないから、退化していく。
これが日本の現状だと思います。
この点だけ取ってみても、日本はフィンランドに比べ30年近く遅れていると言えるのではないでしょうか?
教員の質向上のための施策
教員の質向上のための施策には、以下の3点の変革が挙げられます。
- 教員採用率を10%未満にすること
- 教員の資格として、修士号を要求すること
- 養成課程の1年生から、現場での教育実習を実施すること
元々人気の職業だった教師に、このような高い要求をすることで教師の質向上を図りました。
また、その他に、
- 教科書検定を廃止
- 学校設備の充実
- 教育に関与する公務員の増加
などに取り組みました。
教科書検定とは、政府が学校の教科書として扱う教材を指定する制度です。
フィンランドでは教科書の良しあしを政府ではなく市場が決めるものと考え、教科書検定制度を完全に廃止しました。
扱う教材を先生1人1人が決定できるようになりました。
全くもって素晴らしいと思います。
おこがましいですが、私もこれに近い考えをもっています。
詳しくは、こちらをご覧いただけるとうれしいです↓↓
フィンランドの教育の特徴
フィンランドの教育は、教育大臣オリベッカ・ヘイノネン氏の1994年からの教育改革が大きなターニングポイントとなったことは歴史から理解できましたね。
では、いったい現状としてどんなものがフィンランドの特徴になっているのか?
こちらについて考えていきます。
フィンランドの教育の特徴は、
- 教育費が無償
- 基本理念「学ぶ行為そのものが義務」
- 質の高い教員
の3点があげられます。
以下で、項目ごとに具体的に説明しています。
教育費の無償
フィンランドの教育の大きな特徴は、プレスクールから大学院まで学費がかからないことです。
学費のほか、給食費や文房具代等も支給されます。
親の就労状況を問わず、0歳から保育園に通うことができます。
これはすべての子どもに保育施設を24時間確保することが自治体の義務とされているためです。
初等教育が始まる前の1年間は、プレスクールに通うことができます。
プレスクールは、幼稚園もしくは総合中等学校に併設されています。
基本理念「学ぶ行為そのものが義務」
フィンランドの教育は、学校へ行くことが義務ではなく、学ぶ行為そのものを義務としています。
親や保護者は子どもの学習を成立させることに注力し、学習環境を整えることが義務なのです。
日本のように全国共通テストがなく、学生同士での競争が少ないことも特徴的です。
質の高い教員
フィンランドの教員は修士号を取得する必要があります。
また、教員採用率は低く、教員の質を高く保つための施策が取られています。
総合学校1~6年生の担任は教育学を専門とする教師が配置され、総合学校7~9年生はそれぞれの科目の修士号を持つ教師が各教科を担当します。
教育内容としては、
- クロスカリキュラム
- 暗記することよりも、学習した内容を表現すること
が重視されているなどの特徴があります。
クロスカリキュラムとは、教科・科目を横断した学習項目のことです。
2016年にはプログラミングが必修化され、全科目で横断的に導入されています。
この辺りは日本も参考にして取り入れている部分ですね。
2020年、小学校でプログラミング教育が必修化しました。
そして、2021年、中学校でもプログラミング教育が全面実施となりました。
さらに2022年には高校で必修科目『情報Ⅰ』が新設されることになっています。
さらにさらに、2024年には、大学入試共通テストの『情報Ⅰ』において出題されるのです。
教育の成果
最後に、数値で測れる教育の成果についてまとめました。
教育は数字で測れる部分が全てではないことは、ご理解いただけますよね。
よって、あくまで指標です。
今回は、「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」と「World Happiness Report 2019」(世界幸福度調査)をその指標としました。
「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」
PISAでは、読解力・数学的リテラシー・科学的リテラシーの3つの項目で調査が行われます。
国立教育政策研究所のまとめた「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、フィンランドの2000年以降の調査結果は以下の通りです。
年 | 読解力 | 数学的リテラシー | 科学的リテラシー |
2000年 | 1位 | 4位 | 3位 |
2003年 | 1位 | 2位 | 1位 |
2006年 | 2位 | 2位 | 1位 |
2009年 | 3位 | 6位 | 2位 |
2012年 | 6位 | 12位 | 5位 |
2015年 | 4位 | 13位 | 5位 |
2018年 | 7位 | 16位 | 6位 |
調査は2000年から開始し、3年ごとに実施されます。
フィンランドは調査が始まって以降、2015年まで高い順位にランクインしていることがわかります。
一方で、特に数学的リテラシーの項目において、2000年の4位から順位が下がっています。
これは加盟国が増加し、上位に食い込んでくる競争国が増加したことが原因として考えられます。
「World Happiness Report 2019」(世界幸福度調査)
国連の実施する「World Happiness Report 2019」(世界幸福度調査)で、フィンランドは2018年から2年連続で1位を獲得しました。
このランキングは、
「自分にとって最良の人生から最悪の人生の間を10段階に分けたとき、いま自分はどこに立っていると感じるか」
という質問への回答の数値で順位付けしたものです。
国連の考える幸福度の指標は、
- 一人当たりGDP
- 社会的支援
- 健康寿命
- 人生の選択の自由度
- 社会的寛容さ
- 社会の腐敗度
の6つと、全項目を最低とした架空の国(ディストピア)との比較とされています。
この指標は、国連がランキングを説明づけるために用いているものです。
ランキングは、先述した質問に回答された数値の平均値のみで決定していることに注意が必要です。
これらの指標のうち、人生の選択の自由度と教育の間に関連があると考えられます。
こういった指標でもフィンランドは高い結果を出しています。
まとめ
最初にお話しした通り、フィンランドの教育制度の良さについては、教育界では有名な話です。
日本でも、フィンランドの教育に関する書籍が多数出版されるなど、そのあり方を研究する傾向は強くあります。
今回分かったことは、まず見習うべきは教育方法ではなく、教育制度であるということです。
この点で考えると、日本はフィンランドにかなり劣っていると言わざるを得ません。
感覚的に30年近くの遅れに感じています。
フィンランドの教育は、2000年代に大きな関心を集めた教育制度です。
現在では政治的な意味合いで教育無償化の先例としても注目されています。
経済格差が教育格差の要因の1つとなっている日本では、今後フィンランドの教育に注目する保護者や教育関係者が増えていくと考えられます。
今後とも、フィンランドの教育からは学ぶべきところがたくさんありそうです。
のりそらからは以上です!!
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フィンランドの教育と同じくらいこれで昔のドラマを見ることにハマっています(汗)↓↓
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