みなさん、こんにちは。
のりそらです。
私は、『教育に選択肢を、人生に革命を』を経営理念に、
教育目標を『明日も行きたくなる学校』すなわちNEXTAGE SCHOOLとした次世代の学校の運営をしています。
ここでは、教育に関わるテーマを1つ挙げて、それについての考えを共有しつつ問題提起を行っています。
今日も、世界の教育に目を向けてみたいと思います。
日本国内にしか目を向けていないと、その範囲で物事を考えるようになる、日本の常識に支配されるような気がしたためです。
そこで、少々世界の国の教育の様子にフォーカスしたいと思いました。
今回は、シンガポールの教育について取り上げます。
シンガポールの教育の印象ってありますか?
実は、すごく学力が高い国として有名なんです。
そこには、どんな秘密が眠っているのか?
以前にこのような記事をまとめています。
もしこちらがまだの方は、こちらからご覧いただけますので、先にこちらをご覧ください↓↓
そんなシンガポールの教育を紐解いてみます。
では、早速いってみましょう!!
シンガポールの教育の歴史
シンガポールは、マレーシアから独立した1965年以降、学校建設や教員養成、教材の統一等を進めました。
1966年に二言語主義が導入されました。
1980年に教育制度が統一され、能力主義の下、子どもの能力に応じてコースを振り分けるストリーミング制が導入されました。
また、同じタイミングで、初等教育6年間・中等教育4~5年間・高等教育2~3年間に定められました。
1980~1990年代の初等教育では、英語・母語・数学の習熟度によって、5~6年次の2年の間は能力別に3クラスに振り分けられていました。
下位クラスに振り分けられた生徒は低い教育を受けることになり、将来の選択肢が狭まり、潜在的に優秀な人材が育たない教育環境でした。
2003年に初等教育が義務教育化されました。
初等教育におけるストリーミング制は2008年に廃止されています。
英語・母語・数学の3教科の成績が劣っていても、優れた1科目を伸ばす科目能力別の教育制度に変革されました。
シンガポールの教育の特徴
シンガポールの教育の特徴として、
- ストリーミング制
- バイリンガル教育(英語と母国語)
の2点が挙げられます。
ストリーミング制度による能力主義とバイリンガル教育の組み込み等の要因から、シンガポールは高い教育水準にあると言われています。
以下で詳細を説明します。
ストリーミング制
ストリーミング制とは、小中学校を卒業する段階で試験を受け、成績に応じてその後の進学するコースを決定する制度です。
シンガポールの義務教育は、6~12歳の初等教育の6年間です。
日本の9年間と比べ短い年数となっています。
この初等教育修了時に、進学を希望する全生徒が試験を受験します。
中等学校は、初等学校卒業試験(=「PSLE」:Primary School Leaving Examinationの略)の成績で、
- Express
- Normal(Technical)
- Normal(Academic)
の3つのコースに原則振り分けられます。
PSLEの合格率は例年98%程度で、合格するといずれかのコースに進学できます。
Expressが上位のコースであり、中学校1年生のおよそ6割がExpressに在籍しているようです。
英語と母語の二言語教育
シンガポールでは、英語と母語を学ぶバイリンガル教育制度が取られています。
シンガポールは中国系・マレー系・インド系などからなる多民族国家であったことから、共通語を必要としました。
イギリス植民地時代に使用された英語を共通言語と定め、英語と母語を学ぶ二言語政策が実施されるようになりました。
今後のシンガポール教育
今後のシンガポールの教育制度の大きな変動として、ストリーミング制の廃止とEdTechへの関心の高まりの2点が挙げられます。
ストリーミング制の廃止を決定
2019年3月にシンガポールの教育省は、2024年から4年間にわたって段階的にストリーミング制を廃止することを決定しています。
シンガポールの日刊新聞「THE STRAITS TIMES」によると、現在のExpress・Normal(Technical)・Normal(Academic)の3コースを廃止、G1・G2・G3の3つのレベルで、科目別の教育を提供する予定です。
2008年に行われた初等教育におけるストリーミング制廃止と同様の措置が、中等教育でも行われると考えられます。
シンガポール教育省が発表したプレスリリースでは、初等教育・中等教育における学期試験・中間試験の中止が2019年以降実施される予定です。
さらに、
- 学生が自分の学習に集中できること
- 過度な学生間での比較を抑制すること
を目的に、これまで発表してきた学生ごとのクラスやレベルのレポートを廃止する予定です。
EdTechへの関心
シンガポールで2019年11月4~6日の3日間、「Edutech Asia Summit 2019」が開催されました。
Edutech Asia 2019ではITが学習方法や授業の手段・場所に及ぼす影響などについて議論され、MicrosoftやAmazonなど約120の企業が出展しました。
- K-12
- 幼児教育
- 第3期教育
- SEN
- 学生の募集と入学者選考
- 職業教育
- スマートスクール
- スマートキャンパス
- STEAM
についての分科会、教育・ITに関する先駆的な取り組みを行う350人の専門家による講演が行われました。
シンガポールは、2008年から教育政策「フューチャースクール@シンガポール」を実施しています。
この政策は、学校を選定しICT環境を整備、教授法や教育内容について変革を行います。
例えば、
- 1人1台コンピュータを使える環境の構築
- 低学年向けのタブレットPCを使った共同学習
などの施策を実践しています。
教育の成果
最後に、数値で測れる教育の成果についてまとめました。
教育は数字で測れる部分が全てではないことは、ご理解いただけますよね。
よって、あくまで指標です。
今回は、「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」、文部科学省「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)における成績」、「QSアジア大学ランキング」をその指標としました。
「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」
国立教育政策研究所のまとめた「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、シンガポールの2012年以降の調査結果は以下の通りです。
年 | 読解力 | 数学的リテラシー | 科学的リテラシー |
2012年 | 3位 | 2位 | 3位 |
2015年 | 1位 | 1位 | 1位 |
2018年 | 2位 | 2位 | 2位 |
PISAの調査は2000年から開始していますが、2012年以降にシンガポールでは調査を実施しています。
2012年調査で全ての項目でトップ3にランクインし、2015年の調査では全ての項目で1位を獲得しています。
直近の2018年の調査結果は全項目で2位です。
文部科学省「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」
TIMSSは、IEA(国際教育到達度評価学会)が進めている、算数・数学と理科の到達度を測定する調査です。
文部科学省の「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2015)における成績」によると、シンガポールは小中学校の算数・理科それぞれ全ての項目において1位を獲得しています。
「QSアジア大学ランキング」
QSアジア大学ランキングは、11の指標でアジアの上位550大学を評価、順位付けしたものです。
QSはイギリスの大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QuacquareliSymonds)の略称です。
「QSアジア大学ランキング2020」ではシンガポール国立大学が2年連続で1位を獲得し、同じくシンガポールにある南洋理工大学が2位を獲得しました。
まとめ
最後にシンガポールの教育についてまとめます。
- シンガポールの教育の特徴はストリーミング制とバイリンガル教育
- 2008年以降ストリーミング制は廃止の流れが続いている
- シンガポールはPISAやTIMSS、QSアジア大学ランキングの調査で上位を獲得
シンガポールでは今後ストリーミング制が廃止され、ICT環境の整備など教育体制の変革が行われていくと考えられます。
今後の動向に注目です!!
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今後とも、シンガポールの教育からは目が離せません!!
のりそらからは以上です!!
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シンガポールの教育と同じくらいこれで映画を見ることにハマっています(汗)↓↓
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